
ロングスリーパー(長時間睡眠者)
ロングスリーパー(長時間睡眠者)の明確な定義はないが、9時間以上睡眠をとるものをロングスリーパーとする場合が多い(Hartmann et al., 1971)。睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)では成人は10時間以上の睡眠、子供ではその年齢に適した睡眠時間より2時間以上多い場合としている。
厚生労働省の調査によると睡眠時間が9時間以上なのは国民の2.1%であったが、これには70歳以上の6.3%という数字が大きく反映されており、20代は1.3%、30代は0.6%、40代は0.3%、50代は0.2%、60代は0.8%である。しかし、この数には平日の睡眠不足を補うため休日に睡眠延長するものもいるため、本当のロングスリーパーを反映しているとは言えず、日ごろの生活背景などの確認が必要である。また、統計において長時間の睡眠をとる人が長時間睡眠者なのか、睡眠時間の過剰をもたらす障害を持っているのかもよくわかっていない。しかし、真のロングスリーパーは長時間の夜間睡眠を強制的に取らせれば眠気は消失する。
ロングスリーパーは睡眠障害国際分類に載っているものの、正常範囲の異形として扱われ、特に治療を必要とするものではないとされている。しかし社会生活において必要とする睡眠時間より少ない睡眠時間への短縮を強いられた結果、眠気が生じるとき医療的な援助が必要となる。現状ではロングスリーパーでありながら、日本の社会に適応するため仕事や学業のために睡眠時間を削らなければならない場合でも、病気ではないからと治療(投薬)を開始してもらえないケースが多くみられ、そのため社会生活に著しい制限が生じ、フルタイムで働けずにバイトやパートタイマーとして働いている人や、そもそも働けない人もおり、生活保護を受けていたり、かなり苦しい状況になっている。